動作不明、パーツ取りにどうぞと無料で頂いたパソコン。中を開けてみると、ハードディスクだけ抜いてあり、それ以外のパーツは揃っている。とりあえず起動だけしてみようと電源を入れてみると…
- NEC Mate J MJ32M/L-H (PC-MJ32MLZZJASH)というスリム型PC
- 電源を入れてみると、モニターへ信号が送られず何も映らない
- 電源ランプは点灯し、全てのファンも回っている。DVDドライブもボタンで開閉できる。USB接続のキーボードのNum Lockランプも点灯している。
- 通電だけはしているが、BIOSが破損しているのか?
- 全てを取り外してマザーボードの両面を凝視
- もうお手上げで、マザーボードが壊れていると諦めた
- 長時間のCMOSクリアじゃないと実行した意味がない場合もあるらしい
- 廃棄が決定していたマザーボードが、ついにモニターへ信号を出した!
- CMOSクリアは製品マニュアルを確認し、長時間放電してみましょう
NEC Mate J MJ32M/L-H (PC-MJ32MLZZJASH)というスリム型PC
頂戴したのはこちら(新しいタブでメーカーの商品情報ページが開きます)。CPUは『Core i5-4570 (4コア 3.20 GHz)』。2013年頃に発売されたものですね。昨年まで2008年発売の『Core 2 Quad Q9550 (4コア 2.83GHz)』で生活していたので、私にとって充分な性能だと分かっています。
マザーボードには『Lenovo IH81M』と印字されています。メモリスロットは2つ。そこに4GBのメモリが1枚挿してありました。
左側にはDVDドライブがあり、その右側、ファンの上側に、本来なら3.5インチのHDDが、赤い点線のところでインチネジで留められていて、青い点線のコネクタが接続されるようです。
2.5インチのHDDやSSDだと、そのまま固定することができない仕様となっておりました。起動中は動かすことがないのですから、ネジ穴に紐を通してHDDやSSDを縛り付けても大丈夫でしょう。一般的には、『2.5インチHDD/SSD用→3.5インチサイズ変換ブラケット』といったものを別途用意して固定しているようです。
電源を入れてみると、モニターへ信号が送られず何も映らない
ミニD-sub15ピンとDisplayPortが備わっていて、CPU内蔵のグラフィックスだけでモニターへ表示させることができますので、接続して電源を入れてみると… モニターは『信号なし』と表示するだけ。
電源ランプは点灯し、全てのファンも回っている。DVDドライブもボタンで開閉できる。USB接続のキーボードのNum Lockランプも点灯している。
本体前面の電源ボタンを押すと、ボタンの近くにある電源ランプは点灯する。CPUクーラーのファンも、本体のファンも回っている。DVDドライブのボタンを押すと、トレイの開閉もできる。USB接続のキーボードのNum Lockランプも点灯している。なので、電源ユニットは故障してないし、マザーボードも通電しているのは確かだ。なのにモニターへ信号を出力してくれない。
D-sub15ピンで繋いでいたので、この端子だけが壊れている可能性もある。なのでDisplayPortでも繋いでみたが、やはり何も映らない。PCI Expressスロットにグラフィックボードを挿し、ボードからモニターへ接続してもダメだった。
通電だけはしているが、BIOSが破損しているのか?
マザーボード上にビープ音用の小さなスピーカーが付いているのを確認したが、これまで一度も鳴っていない。なので、通電だけはしているが、BIOSが壊れて正常に機能していないではと疑っていた。しかし、メモリやメモリスロットの不具合をチェックしているとき、メモリを挿さずに起動したところ、『ピッ、ピッ、ピッ、ピー』と、短音3回+長音1回のビープ音が鳴った! スピーカーは機能しているし、メモリーに関してはBIOSも機能していることになる。
全てを取り外してマザーボードの両面を凝視
CPUが故障することは滅多にない。CPUクーラーのファンが回っていなかったら熱で壊れたかもしれないが、ファンはいつも回っていた。CPUを取り外してピンの折れや曲がりがないか一応確認。
マザーボード上に何か異常がないか凝視したが、コンデンサの膨張や破裂も無いし、ショートして焼けたような形跡も無く、綺麗なものだった。
ボタン電池を新品に付け替え、ジャンパピン上のジャンパプラグを差し替えてCMOSクリアもした。
もうお手上げで、マザーボードが壊れていると諦めた
再度組み上げて電源を入れても、やはりモニターへ信号は出力されず、万策尽きました…
同じパソコンから抜き取られた、『Lenovo IH81M』というマザーボードがオークションサイトで売られていて、送料を合わせて2500円ぐらい。しかし…
電源の差込が特殊で、他の電源ユニットと組み合わせることができるか分からない。次に電源ユニットが壊れたら、また専用のものを買わなければならなくなる。省スペース、省電力、拡張性もある程度あり、よくできているこのMateだが、費用をかけてまで拘束される必要は、私にはない。
下さった方が仰っていた通り、これは部品取りをするのが正解なようだ…
長時間のCMOSクリアじゃないと実行した意味がない場合もあるらしい
万策尽きて、このマザーボードは廃棄することにし、新品のボタン電池も外した。その後、解決策を探すともなく同じようにモニターへ信号を出力しないトラブル事例を眺めていたら、これまでの私の認識とは違った見解を目にした。それは、『CMOSクリアは、電源コードを抜き、ボタン電池を外し、ジャンパピン上のプラグ位置を変え、電源ボタンを押したりして電気を抜けばすぐに完了する。しかし、マザーボード上に蓄電されているせいで、長時間放電しなければならない場合もある。』というのだ。長時間の放電。これは試していなかった。ボタン電池まで外して数時間放置してあるマザーボード。面倒ではあるが、もう一度だけ組み上げて、再確認してみることに。
廃棄が決定していたマザーボードが、ついにモニターへ信号を出した!
最後の確認にあたり、一応Mateの活用ガイドページも再確認した。すると、『BIOSを工場出荷時の設定値に初期化』するには、ジャンパプラグを差し替えてクリアし、元に戻すだけでは完了しないらしい。『差し替えた状態で電源を入れ、ビープ音がピッピと鳴ることを確認し、電源を切り、ジャンパプラグを元の位置に戻す』という手順を踏む必要があるとのこと。指示通り実行すると… ピッピとビープ音が鳴りました! この操作は今回が初めてだったので、期待が高まりました。
電源を切り、ジャンパプラグを元の位置に戻し、モニターを繋ぎ、本体の電源を入れると…
ついにモニターへ信号が送られ、NECのロゴが表示されました!
NECのロゴが表示されている時に『F2』キーを連打すると、BIOSセットアップユーティリティへと無事に入ることができました!
CMOSクリアは製品マニュアルを確認し、長時間放電してみましょう
『CMOSクリアは、電源コードを抜き、ボタン電池を外し、ジャンパピン上のプラグ位置を変え、電源ボタンを押したりして電気を抜けばすぐに完了する』と、私はこれまでの経験で全てがそうであると思っていました。しかし今回、『CMOSクリアは製品によって操作方法が違うこともある』『CMOSクリアには長時間放電が必要な場合もある』ということを学びました。経験的に学んできたことなので確信があり、それが仇となっていました。
パソコン本体の電源は入るが、モニターには何も映らない。そのような時は、製品マニュアルで指示された方法で、しっかりと長時間放電させるCMOSクリアを試してみて下さい。